9月19日水曜日。大阪府堺市にある初芝堺中学校の3年生32名を対象に本会の活動が行われました。
内容はGPSを使って地球の大きさを測ろう!というものです。
これは、今から約2300年前にエラトステネスが行った歩測を使って地球の大きさを測定したということを体感してみようという実験です。
彼は800kmを歩き、誤差10%で地球のほぼ正確な大きさを測ったのでした。
しかし、たった2時間の授業で800kmも中学生の彼らには測定以前の問題です。800kmとは、初芝堺中学校から東京を通り越したまだ先です。
そこで用意されたのが小型のゲーム機のような機械、GPSです。
GPSというのはグローバル・ポジショニング・システムの略語です。これはカーナビなどで最近良く見かけられるようになった、衛星を使って今いる自分の場所を知ることができるシステムのことを言います。
これを使い、校舎の外で南北と東西それぞれに向かって80歩歩き、その始点と終点の緯度と経度差と、あらかじめ測定しておいた自分の1歩の長さを使って距離を求めます。
そして、地球の円周は(移動した距離)×60×360÷(緯度の差 もしくは 経度の差)で求めることができます。
南北の測定の時は緯度の差を用い、東西の測定のときは経度の差を用います。
まず、2人1組のチームにGPSがひとつずつ渡されました。
授業はじめのあいさつのあと、早速GPSの使い方と今いる自分の位置の緯度と経度の読み取り方の説明にはいったのですが、みんな見たこともない機会に興味津々の様子で、一つボタンを操作するたびに感嘆の声が聞こえました。
使い方をマスターした生徒たちは、次に歩測者と記録者に分かれ、歩測者はまず自分の廊下で10歩の距離を測り、そこから1歩分の長さをもとめ、これを基準の長さにしました。
歩測者全員の1歩の距離が求められた後、いよいよ測定の本番です。
みんな思い思いのスタート地点に着き、衛星から送られてきた自分の緯度と経度の見慣れない数字を読み取り、初めは恐る恐る歩き出しました。

しかし、それは初めだけです。一度歩きおわり、GPSの数値が移動したことを証明すると、歩数が増えるごとに声を大きくしながら、もう片方の測定方向に向かって歩き出しました。
途中、向かい側から歩いてきた歩測者とぶつかりそうになったり、うまく身体をよじってかわしたり、中学校の先生方もGPSを片手にもくもくと歩いていたり…。早く測定の終わったチームは2度目の測定に精を出す様子が見られました。
測定が終わると、もう一度生徒たちに教室へ戻ってもらい、取得した緯度と経度差を利用し、地球の大きさを求める計算を初めました。
すると、GPSの測定で意気揚々と歩いていた生徒たちは、真剣な顔つきに戻りました。プリントの余白やノートに計算式を書き、チームであれこれと話し合いながら自分たちの歩幅から地球の大きさを割り出していきます。
最後に全員で自分たちの歩測で割り出した地球の大きさを発表しました。
しかし、ここで少しトラブルが!
生徒たちみんなが地球の大きさというケタ違いの数字に読み上げることすら四苦八苦な状態になってしまいました。
何度も数字を数えてては読み上げて。他のみんなと違うようだと感じたら声が小さくなっていったり…。
何とか結果の発表が終わっても、自信満々という生徒はなく、みんなの間に不安気な空気が漂います。
授業開始のあいさつの中でさりげなく北原先生が言われていた「単位は重要」という言葉をしみじみ味わいながら、ばらついた観測結果にしばし辛口な講評が行われました。
しかし最後に、「この中で一番近い観測結果をだせた人たちは…」と先生が生徒たちの名前を読み上げると、さっきまでの空気はどこへやら。
名前を呼ばれたチームはお互い手をたたきあったり、「よっしゃ!」と笑いあったり、まわりのみんなも「すごい!」と大きな拍手を送ります。
失敗の教えにはきちんと耳を傾け、成功の賛辞には体全部で喜んで。
くるくると変わる授業の様子は、今この時だからできるコトなんだな、と少しうらやましくなりました。
地球の歩測者になった中学三年生の生徒たちは、うまく測定できた子はもちろん、すこし失敗してしまった子たちも、なんだか楽しそうに教室を後にしてくれたことを嬉しく思います。
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