Profile:栃木県在住。小4でe-kagakuに入会。スペースバルーン(成層圏探査)プロジェクト、ジュニア衛星プロジェクトに参加。

◆e-kagakuに入会したきっかけ
学校で配布されたちらしを見て体験教室に参加したのがきっかけです。最初、パッと見た時はそこまで乗り気じゃなかったので、体験教室だけにしようかなと思ったのですが(笑)、体験教室の冒頭で北原先生が「隣に座っている人と自己紹介して」と言われたのが印象的だったのと、火星人をキャラクターにしているのが面白いなと思って継続することにしました。科学のスキルや知識よりも、人としての「礼儀」や「信頼できる人間であるか」を大事にしているのを感じて、他の習い事とは違うな、と思ったのを覚えています。

入会してからも、「科学は便利だけれど、人を殺せる凶器にもなる。だからそれを扱う人間性が問われる」という話や、「質問が出ないのは、話を聞いていない証拠だ」など、今考えても深いなと思う話をたくさん聞かせていただきました。

◆「輪ゴムの実験」がMATLAB EXPO2020でベストポスターアワード3位を受賞
2019年、中2の時にスペースバルーン(成層圏探査)プロジェクトに参加。仲間4人で「輪ゴムの実験」を行いました。その分析結果をMATLAB EXPO2020で発表したところ、ポスターセッションでベストポスターアワード3位を受賞することができました。

高さ30kmの成層圏でしかできない実験をしたいと考え、最初は生体が受ける影響調査をしたいと思ったのですが、生物を扱うのは難しく、素材を題材にすることにしました。中学生が思いつく素材はゴムとプラスチックぐらいしかなく、プラスチックは実験機材の中に入っていることもあり、ゴムを選びました。輪ゴムにしたのも、目の前にあったから、というそんな理由だったと思います。赤外線や放射線、高度、輪ゴムの弾力性などのデータ取得が目的でしたが、無事にデータが取れていてほっとしました。

バルーン打ち上げの様子

バルーンを打ち上げた宮古島にて

チームで製作した観測器。右がゴムの張力測定装置

 

チームで1つの観測器を打ち上げてデータを取ってくるところまでは共同作業ですが、データを分析して結論を導き出すのは個人作業となります。事前にゴムを放射線にさらしたら悪影響が出るだろうという仮説は立てており、データをぱっとみた感じでは予想通りの結果になっていました。しかし、そこからいかに科学的・学術的に証拠づけるのかが難しい作業です。

分析にはMATLAB(MathWorks社の数値解析ソフト)を使い、まずその使い方を習得するところが第一関門でした。また、僕たちのチームでは打ち上げてから着水するまでの間、輪ゴムの様子を動画撮影していて、その画像解析が次の関門となりました。輪ゴムが収縮、変色している様子は動画からわかるのですが、それを数値化して説明しなければなりません。最終的には放射能が輪ゴムに悪影響を与えた、と根拠づけましたが、劣化の原因が放射能か紫外線・赤外線なのか、もしくは気温差によるものなのかを結論づけるには、放射線以外の影響を受けない状態にして再度データを取って比較実験する必要があると思っています。

MATLAB EXPO2020で発表したポスター

◆ベストポスターアワード3位受賞後の心境の変化
大人に認められたという達成感がありました。子ども向けの発表会ではない、企業も参加する大人の舞台で、大人に評価してもらえたのが一番嬉しかったですし、自信にもつながりました。当時、衛星プロジェクトに参加したいけれど、今の自分のスキルで参加してよいものか迷っていたのですが、受賞が背中を押してくれました。

◆衛星プロジェクトに携わる中で感じていること
やはり大学生との差は大きいなと日々感じています。担当してくれているサポーターは東京の大学生で、プログラムを書くのも得意ですし、スキルも知識も豊富。リーダーシップをとってチームをまとめていく能力もすごいなと思います。追いつけないなと思う反面、いつかは追いつきたいとも思っていて、そんな理想の姿を近くで見ることができるのは本当にありがたいなと思います。

◆今後の夢
日本の衛星産業に携わりたいと思っています。宇宙に行かないとわからないことがまだまだたくさんあります。有人活動とは異なり、衛星はリスクが小さいため、それが果たす役割は大きいと思っています。

●登壇した第1回ジュニア衛星プロジェクトシンポジウムの模様はこちら(00:49:49~出演)
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